Mar 06, 2011
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[パリ 29日 ロイター] 米製薬大手のブリストル・マイヤーズ・スクイブ<BMY.N>とファイザー<PFE.N>は、両社が共同開発した塞栓症薬「エリキス」によって今後数十億ドル規模に膨らむと予想される脳卒中発症予防薬市場を支配する態勢にある。
ただし、ライバル薬との競争がないわけではない。
両社は、脳卒中予防薬のクラスで最高の臨床試験結果という極めて強力な武器を手にした。しかし、多くの医師は競合薬にもかなりの類似性があり、エリキスとともに従来の抗血栓薬で用量調節が難しい「ワルファリン」の代替薬になり得るとみている。
エリキスは28日に欧州心臓病学会年次会議で発表された臨床試験結果で、有効性、安全性、致死率の3点すべてでワルファリンをしのいだ。強い印象を与えるデータによって、アナリストの期待も確実に高まっている。
リーリンク・スワンのシェイマス・フェルナンデス氏は、年商70億─90億ドル規模の世界の脳卒中予防薬市場でエリキスがトップに立つと予想している。
ジェフリーズのジェフリー・ホルフォード氏も同意見で、ISIグループのMark Schoenebaum氏は同薬が市場シェアの6割を占めると予想する。
しかし心臓専門医は、脳卒中発症予防薬として現在唯一承認されているベーリンガー・インゲルハイムの「Pradaxa」の他のライバル薬にも注目しており、もう少し慎重だ。独バイエル<BAYGn.DE>と米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)<JNJ.N>が共同開発した「Xarelto」はまもなく適用拡大の承認が下りると予想されている。
アムステルダムの総合公立病院Onze Lieve Vrouwe Gasthuisの心臓科責任者であるFreek Verheugt医師はインタビューで、それぞれの薬が異なる患者に適切だと指摘し、明らかな勝者を選ぶのは難しいと語った。同医師は心房細動患者1万8000人を対象にブリストルとファイザーが実施している臨床試験の調査に携わった。
ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院のジェシカ・メガ医師はニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌の論説で同様の点を指摘し、新薬の相違は臨床試験の仕様の差異にすぎないとの見方を示した。
<1日1回または2回の服用>
薬を処方する際には、患者が直面するリスクのタイプが主な決定要因となる。出血のリスクが高い患者にはエリキスかPradaxaの低用量投与が最善だとVerheugt医師は指摘する。
多くの医師にとって、エリキスとワルファリンを比べた場合、エリキスで出血のリスクを31%減らせることが際立った特性と映っているようだ。
しかし、服用はまた別の問題で、この点についてはXareltoが強みを持っている。エリキスとPradaxaが1日2回の服用なのに対して、Xareltoは1回の服用で済むからだ。
ノーザン・カリフォルニア・カイザー・パーマネンテのシニアアドバイザー、ラルフ・ブリンディス医師は、複数の薬を服用している年配の患者にとって、1日1回の服用によって服薬順守率が上がることは「重要」だと話す。
エリキスが来年、脳卒中予防薬として上市されれば、3番目の薬となるが、そのデメリットは心臓血管内科分野に関するブリストルとファイザーの強力なマーケティング力で相殺されるだろう。
ファイザーは売り上げ世界1位の高脂血症治療薬「リピトール」を販売しており、ブリストルの抗血小板薬「プラビックス」は第2位だ。両社はジェネリック医薬品(後発医薬品)との競争にさらされており、特に新薬の発売に躍起になっている。
バーンスタインのティム・アンダーソン氏は「心臓血管薬分野で、ブリストル・マイヤーズとファイザーが競合他社よりかなり優位に立っているということに反対する人は多くないだろう」と述べた。
明確なのは、3つの新薬と第一三共<4568.T>が2012年に試験結果を発表する予定の「Edoxaban」によって、抗凝血剤を服用する心房細動(AF)患者数が大きく増加することだろう。
AF患者の多くは定期的な血液検査を必要とするワルファリンの服用に消極的か、ワルファリンに適合できない状態だ。
一方、ワルファリンで十分コントロールできている患者が薬を切り替えるべき理由は、特に新薬の比較的高いコストを考慮すればほとんど見当たらない。
米国でPradaxaは卸売価格が1日当たり6.75ドルする。
欧州ではPradaxaの価格はこれより安いが、英国の国立ヘルス・アンド・クリニカル・エクセレンス研究所(NICE)は今月、同薬の経済性についてまだ十分確信していないと表明した。
エリキスの臨床試験を率いたデューク大学メディカルセンターのクリス・グレンジャー医師は「試験に関わった学界指導者として、われわれは、より多くの経口抗凝固剤の新薬が上市されることにより、コストにいくらかの低下圧力が掛かることを期待している」と述べた。
しかし、すべての製薬会社が新薬の特許切れ前に利益を最大化しようと取り組む中、同医師の言葉が実現するかどうかはまだ分からない。
(Ben Hirschler記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 宮崎亜巳)
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